- 2025-11-24
インフルエンザ脳症について

前回、インフルエンザと脳神経の合併症のお話しをしました。急性脳症は、その中でも最も重症な合併症になります。急性脳症は、主にウイルス感染症をきっかけにして起こります。インフルエンザは、急性脳症の主要な原因ウイルスです。その他、突発性発疹やCovid-19でも急性脳症を起こします。ロタウイルスによる脳症はワクチンのおかげでほぼ無くなりました(第3回急性脳症の全国実態調査)。
急性脳症にも色々タイプはあるのですが、全体の死亡率が5%、後遺症率が36%(急性脳症診療ガイドライン2023)と今でも大変怖い病気です。
日赤病院勤務時代には、毎年何人も急性脳症のお子さんさんが入院されていました。後遺症なく回復された方もいらっしゃいますが、知能低下、てんかんなど後遺症が出た方や残念ながら亡くなってしまった方もいらっしゃいました。
この様に、急性脳症にはかからないことが一番ですが、インフルエンザワクチンでインフルエンザ脳症を防ぐことができるでしょうか?いくつか関連する研究データを示します。
アメリカでの報告では、インフルエンザ脳症の小児109例中、インフルエンザワクチンを接種していたのはわずか16%でした(WR Morb Mortal Wkly Rep. 2025;74:556-564.)。なお、CDCのデータでは、2024/25シーズンの小児(6か月~17歳)でのインフルエンザワクチン接種率は49.2%ですので、脳症発症者の方が接種率が低いです。尚、CDCは生後6か月以上すべての人に対して毎年のインフルエンザワクチン接種を推奨しています。
中国での報告では、インフルエンザ脳炎/脳症の小児71人中、ワクチン接種者は1人(1.4%)のみでした(Clinics. 2024;79:100475.)。
イタリアの報告では、インフルエンザ脳症の小児25人全員がワクチン未接種でした(Pathogens. 2025;14:551.) 。
これらの報告から、インフルエンザワクチンによって急性脳症になる可能性が減ると考えられます。