• 2023-07-27
  • 2023-07-28

小児の初回てんかん発作後の再発率②

前回、初回てんかん発作が起こった場合の再発率はおよそ50%で、再発しない期間が長い程再発率は低下することを書きました。初回てんかん発作後の再発率① – たかみこどもクリニックブログ (takami-kodomo.com) 

今回は、どの様な人が再発しやすいかについて書きたいと思います。前回同様、日赤病院勤務中に発表した論文をもとにお伝えします。Risk of seizure recurrence after a first unprovoked seizure in childhood – PubMed (nih.gov)

結論から書きますが、初回脳波でてんかん性異常波がある、または頭部CTまたはMRIで脳に異常所見があると、再発率が統計学的有意に高くなっていました。その他の項目(性別、発作の種類、30分以上の発作、24時間以内の群発発作、睡眠中の発作、過去の熱性けいれんの有無、家族のてんかんの有無など)では再発率に差はありませんでした。

①脳波検査  「てんかんの人=脳波異常がある」とよく誤解されています。この研究で、初回のてんかん発作のあった467人に脳波検査をしたところ、てんかん性異常波は51%で見られました。つまり、半数では脳波正常でした。脳波が正常だからてんかんではないということではありません。脳波異常のあった人と脳波異常のなかった人の再発率を比べると、上のグラフの様になりました。見た目にも差はあるようですが、統計解析により脳波異常があると1.6倍再発しやすいという結果でした。ただし、脳波が正常でも約半数が再発しているため安心とは言えません。

②頭部CT/MRIでの脳の異常所見  CTやMRIで脳の異常所見があった人は7%で、多くの人は正常でした。また、異常があった人は元々脳性まひや発達の異常がある割合が高いです。多いものは、早産に伴う脳室周囲白質軟化症で、その他先天的な脳の異常もあります。一見普通のお子さんでも、良性の脳腫瘍や胎内での脳虚血による結果と考えられる局所的な脳のダメージなどが見つかることもときにあります。結果は上のグラフですが、CTやMRIで脳に異常があると、ほとんどの人が再発しました。異常がなくても約60%の人は再発しました。

まとめです。初回てんかん発作でより再発しやすいのは、①脳波でてんかん性異常波がある、②CTやMRIで脳に異常所見がある人です。

次回は、1回目と2回目の発作の関連性や発作による後遺症について書きたいと思います。

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