- 2024-06-18
手足口病が流行しています
全国的に、手足口病が増加しています。1医療機関あたりの患者数が週5人を超えると警報が発令されます。兵庫県でも先週から警報レベルを超え、増加傾向です。当院では昨日1日だけで10人の手足口病患者さんが来院されましたので、さらに流行している印象があります。
過去10年の流行グラフを見ると、流行の立ち上がりがやや早いです。手足口病は夏風邪の1つであり、7月から8月頃に流行します。グラフは見えにくいですが、大きな流行となったのは、2015年・2017年・2019年です。新型コロナ感染症の影響で、長期間感染対策が行われた結果、多くの感染症の流行が抑えられてきました。今年は、2019年に匹敵するかそれ以上の流行になりそうな予感がします。
手足口病についてご説明します。原因となる病原体は、コクサッキーウイルスやエンテロウイルスといった複数のウイルスです。そのため、水ぼうそうの様に1回かかると終わりではなく、何度もかかることがあります。90%以上は、6歳未満の乳幼児です。たまに、ご両親(大人)もかかることがあります。名前のとおり、手足や口の中に小さな水疱を中心とした発疹が出現します。発熱することもありますが、発熱しない人の方が多いようです。咳、鼻水、嘔吐、下痢などの症状が出ることもあります。口の中に水疱ができると痛くて食事を嫌がることがあります。
ウイルスによる感染症のため、抗菌薬(抗生物質)は効きません。症状に対する対症療法が中心となりますので症状に合わせてお薬を出します。水疱は通常かゆみはなく塗り薬は不要です。重症化することは多くはないのですが、発熱が続く、嘔吐を繰り返す、ぐったりしているなどは要注意ですので受診するようにして下さい。
保育園・幼稚園は発熱や嘔吐がなく、普段の食事がとれ、元気であれば登園は可能です。水疱があるから登園禁止ではありません。これは、人に移さないからではなく、登園禁止にしても流行を防ぐことが難しいためです。発熱が出ないだけでなく、感染してもほぼ無症状のお子さんもいらっしゃいます。人に感染させる期間は比較的長いですが、最初の1週間が感染力が高いです。咳や鼻水からは1~2週間、便からは数週間~数か月ウイルスが排出されます。