• 2024-07-15

HPVワクチン(子宮頸がん予防)キャッチアップ接種が終了します

令和6年度に高校1年生相当年齢の女性と平成9年4月2日から平成20年4月1日生まれの女性(キャッチアップ接種対象者)でHPVワクチン未接種の方に、6月中に下記の様なハガキが届いたかと思います。

HPVワクチンのキャッチアップでの無料接種が今年度(令和7年3月)で終了となります。3回接種を終了するためには6か月間かかるため、1回目を令和6年9月までに接種する必要があります。現在高校1年生の女性も今年度中に接種しないと無料で接種できなくなります。

子宮頸がんについて

子宮の入口にできるがんです。2019年に10,879人が新たに診断され、2020年に2,887人が亡くなっています。女性の約76人に1人が子宮頸がんにかかり、女性の約300人に1人が子宮頸がんで亡くなっています。また、がんというと高齢者の病気を思われがちですが、子宮頸がんは30代~40代が発症のピークとなっています。

国立がん研究センター がん情報サービス

子宮頸がんとヒトパピローマウイルス(HPV)

がんの原因は、がんの種類によって違いがあります。子宮頸がんのほとんどは、ヒトパピローマウイルス(HPV)が原因となることが分かっています。HPVは主に性行為により感染するため、10代後半から感染者が増えていきます。一部の人では、HPVが長期間持続感染し、その後前がん病変となることがあります。そこからさらに進行すると子宮頸がんとなります。感染から子宮頸がん発症まで数年~十数年かかります。

厚生労働省パンフレット

③ヒトパピローマウイルス(HPV)ワクチンの効果

つまり、HPVの感染を防ぐことが、子宮頸がんの発症予防に最も重要であることがお分かりいただけるかと思います。国立がん研究センターは、日本人を対象とした研究結果から科学的根拠に基づいた「日本人のためのがん予防法」を発表しており、HPVワクチンにより子宮頸がんのリスクは確実に低下するとしています。不確実なことが多い医学において「確実」という言葉は非常に重たい表現です。国立がん研究センター「科学的根拠に基づくがん予防」 (ncc.go.jp)

国立がん研究センター

HPVの感染から子宮頸がんを発症するまで数年~十数年かかることから、ワクチンが実際に子宮頸がんを減らすかどうかを確認するためには10年以上かかります。ワクチンが、HPVの感染を減らすことや前がん病変を減らすことが順次報告され、2020年頃からはHPVワクチン接種が子宮頸がんを減らすことも相次いで報告されています。スウェーデン、デンマーク、イングランドの報告では、16歳までに接種すると、接種していない人と比べ、子宮頸がんの発症を86-88%減らしました(未接種者の子宮頸がん発症率を1.0とすると、接種者の発症率が0.12-0.14)。また、これら3つの報告は2価または4価ワクチンが使用されています。現在最も効果が高いとされている9価ワクチンでは、さらに有効性が高いと考えられています。もっと詳しく知りたいかたは、日本産婦人科学会のHPをご覧下さい。一般の皆様へ – 公益社団法人 日本産科婦人科学会 (jsog.or.jp)

④ヒトパピローマウイルス(HPV)ワクチンの副反応

結論から書きますが、他のワクチンと比べ特別危険性が高いということはありません。

一般的な副反応として、注射部位の反応(痛み、腫れ、発赤)が半数以上の人で起こります。その他、発熱、頭痛、倦怠感などがありますが、発熱は10%未満です。

過去に、HPVワクチン接種後の様々な症状が出現したことが報道されました。そのときの報道内容を心配して接種を控えている方がいらっしゃいます。HPV接種後に特殊な症状が起こりやすくなるかについては、日本だけでなく海外でも調査がされています。まず、予防接種後に起こったことは全て予防接種のせいとは限りません。予防接種翌日につまずいて転倒したとしても誰も予防接種を受けたからだとは思わないでしょう。しかし、予防接種翌日に発熱した場合はどうでしょう?副反応でしょうか?もちろん副反応の可能性はあります。しかし、たまたま風邪を引いて熱が出たのかもしれません。HPVワクチンで特定の病気や症状が起こりやすくなるかどうかを判断するためには、HPVワクチンを接種した女性と接種していない女性を数万人、数十万人規模で比較します。実際、日本でも約3万人の調査で特殊な症状が増えてはいませんでした。世界においても、過去の多くの論文を統合・解析したコクランレビューにおいて重篤な副反応は増加しないと報告されています。こちらも、日本産婦人科学会のHPに詳しく記載されています一般の皆様へ – 公益社団法人 日本産科婦人科学会 (jsog.or.jp)

最後に

HPVワクチンは、子宮頸がんを劇的に減らす効果があります。他の予防接種と比べ危険ではありません。現在の正しい情報を確認した上で、接種をご検討下さい。その他の情報のリンクを貼っておきます。

厚生労働省パンフレット (mhlw.go.jp)

みんパピ! (minpapi.jp)

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