• 2025-08-27

経鼻インフルエンザワクチン(フルミスト®)は今シーズン実施しません

タイトルの通り、当院では今シーズン経鼻弱毒生インフルエンザワクチン(フルミスト®)を実施しないことといたしました。

昨年度からフルミスト®が発売され、当院でも接種を行いました。今年度採用しなかったのは、フルミスト®は10本単位での発売のため在庫管理が難しく、Web予約で管理することが困難であることが理由の1つです。昨年は、Web予約でなく院内で直接予約をお取りしましたが、患者さん側にもクリニック側にも負担がかかってしまいます。また、注意点が比較的多いワクチンのため、気軽に予約をお取りできないということも理由です。

経鼻ワクチンは生ワクチンのため、有効性など含め期待されていましたが、注射のインフルエンザ不活化ワクチンと比較して、残念ながらメリットはあまりありません。経鼻ワクチンのメリットは「痛くない」ことです。それ以外にメリットはほとんどありません。ですので、どうしても注射が怖くて打てない人にとっては選択肢となるかもしれません。様々なクリニックのホームページを見ますと、注射のインフルエンザワクチンと比べ効果が高い、あるいは長続きすると記載されているのを見かけますが、これらには根拠がありません。どちらのワクチンも効果はあり、インフルエンザにかかる可能性を減らすことができますが、複数の報告からはどちらがより優れているとは言えません。また、感染予防効果が注射に比べ長続きするというデータはなく、希望的観測にすぎません。データがありましたらお示しください。

一方、経鼻ワクチンのデメリットです。

高価:自費ワクチンのため、クリニックにより費用は異なりますが、ワクチンが高価のため接種費用は高くなります。昨年度の当院での接種費用だと、注射2回分より高くなります。

②接種後、かぜ症状が出る:弱毒化していますがインフルエンザウイルスを感染させるため、咳や鼻汁などのかぜ症状が高頻度で出ます。たまに発熱する方がいます。

家族などにうつす可能性がある:弱毒化されているため一般の方はそこまで考える必要はありませんが、身近に免疫不全の方、妊娠中の方2歳未満のお子さん(2歳未満で点鼻ワクチンを接種すると入院リスクが上がる)がいらっしゃる場合は経鼻ワクチン接種をお勧めしません。

喘息:喘息の方が接種すると喘息発作が起こることがあります。

インフルエンザ検査:接種後しばらくはウイルスが存在しているためインフルエンザ検査(抗原検査やPCRなど)が陽性となるため注意が必要です。発熱などで受診される場合は、必ず点鼻ワクチンを受けたことを伝えましょう。診断が間違えられるだけでなく、抗インフルエンザ薬を投与することでせっかく受けたワクチンの効果がなくなる可能性があります。

まとめです。

・注射と点鼻の効果は基本的に同等です

・注射が怖くて打てない人には経鼻ワクチンも選択肢です

・経鼻ワクチンには注意点が多いため、よくご確認ください

昨年度の経鼻ワクチン説明もご興味があればご覧ください

インフルエンザ点鼻ワクチン(フルミスト®)について – たかみこどもクリニックブログ

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