• 2026-09-27

インフルエンザワクチンは注射と点鼻どちらを選ぶ?

今年はインフルエンザの流行が例年より早く、8月に全国的な流行入りとなりました。そのため、9月からインフルエンザワクチン接種が開始されており、当院でもインフルエンザワクチン接種を9月25日から開始し、私自身も接種を受けました。

2024年度から鼻に投与するタイプのインフルエンザワクチン(フルミスト®)が使用可能となり、当院でも使用しました。2年前にもフルミスト®について記載しましたインフルエンザ点鼻ワクチン(フルミスト®)について – たかみこどもクリニックブログ。発売から3年目のシーズンとなり、点鼻ワクチンと注射ワクチンの違いについて改めてお知らせしようと思います。結論から申しますと、どちらも有効なのでどちらでも良いので接種しましょう。但し、点鼻は注意点をよく理解してから接種しましょう。

点鼻と従来からある注射を比較する表をお示しします

上記に関して、いくつか補足します。

【年齢】フルミスト®は、2歳以上で可能ですが、幼児では接種していないクリニックもあります。幼児は怖がって大泣きしてしてしまうことがあり、鼻水が出てきます。そのせいで、せっかく投与したワクチンが出て行ってしまい効果が期待できないのではないかという心配があるからです。

【接種回数】点鼻は1回です。注射は1回または2回です。日本では、3歳以上13歳未満は2回接種となっていますが、毎年接種するのであれば1回でも良いと考えています。

【痛み】点鼻は痛みがないことが最大のメリットとなります。

【接種料金】自費診療のため、接種料金はクリニックにより異なりますが、点鼻タイプの方が高額で、注射の2~3倍程度の費用がかかります。

【予防効果】点鼻タイプと注射タイプの有効性は概ね同等と考えられています。2003~2023年の小児に対するインフルエンザワクチンの有効性をまとめたメタアナリシスでは、点鼻と注射はいずれも同等に有効(インフルエンザにかかる可能性を約半分に減らす)と報告していますReal-world effectiveness of live attenuated influenza vaccines (LAIV) and inactivated influenza vaccines (IIV) in children from 2003 to 2023: a systematic literature review and network meta-analysis – PubMed。

点鼻の方が効果が長続きするという記載を非常に多く見かけますが、根拠が示されていません。点鼻と注射の効果持続期間を比較した研究は現在のところ存在しません。点鼻の方が注射よりも効果持続が長いという臨床的な証拠はなく、わかっているのは有効性は同等であるということです。どちらのワクチンもシーズンを超えて予防効果は持続しないため、毎年の接種が必要です。

小児の初回接種においては点鼻よりも注射2回の方が効果が高かったという報告があり、初回接種は注射に軍配が上がるかもしれませんEfficacy of live attenuated and inactivated influenza vaccines among children in rural India: A 2-year, randomized, triple-blind, placebo-controlled trial – PMC。

【副反応】点鼻ワクチンでは、弱毒化されていますが、インフルエンザウイルスを感染させることにより、鼻水や咳などの風邪症状や、発熱が出てインフルエンザ様の症状となることがあります。注射ワクチンでは接種部位が腫れることがあります。ときに発熱も見られます。

【点鼻ワクチンの注意点】

①鼻水が多い人:アメリカのCDCでは点鼻ワクチンについて、「鼻づまりはワクチンの鼻粘膜への投与を制限する可能性があるため、鼻づまりが軽減されるまで接種を遅らせるか、年齢に応じた注射型ワクチンの使用を検討すべき」と記載されていますLive Attenuated Influenza Vaccine [LAIV] (The Nasal Spray Flu Vaccine) | Influenza (Flu) | CDC。年齢のところで記載しましたが、幼児などで不安が強く大泣きしてしまうお子さんも、鼻水が出てくることで効果が不十分となる可能性があります。

②喘息の人:喘息がある方は、点鼻タイプを接種することで喘息発作が起こる可能性があります。

③妊婦や乳児のいる家庭:妊娠中の方はフルミストが接種できません。2歳未満では点鼻ワクチン接種により入院率が上昇するため接種対象外となっています。点鼻ワクチンは飛沫または接触によりワクチンウイルスが家族などにうつる可能性があります。添付文書では、(授乳婦は)ワクチン接種後1~2週間は乳児との接触を可能な限り控えることと記載されています。

④インフルエンザ検査:点鼻の添付文書には、接種4週間以内はワクチンウイルスが残存している可能性がある。と記載されています。接種後しばらくの間は、インフルエンザ抗原検査を受けると陽性になる可能性があります。検査では、ワクチン株かどうかまで分かりません。点鼻接種後に発熱して病院にかかる場合、フルミスト®を接種したことを伝えるべきです。但し、点鼻ワクチンについて知識がない医師もまだ多いと考えられるため、誤った判断をされる可能性があります。点鼻ワクチンは、インフルエンザ流行前に接種すべきですが、今年度はすでに流行入りしているため、この影響が多くの方に出てしまいそうです。

以上、点鼻と注射のワクチンについて記載しました。当院では初年度以降フルミスト®を採用せず、注射ワクチンのみ行っています。経鼻インフルエンザワクチン(フルミスト®)は今シーズン実施しません – たかみこどもクリニックブログ。点鼻は注射に比べ注意点が多いワクチンです。初年度は説明文書を作成し、理解された上で希望者に接種しました。痛みがないこと以外には点鼻にメリットがなく、費用が高いことや副反応、注意点が多いことなどデメリットがあり、説明や在庫管理が大変なことから初年度以降使用しておりません。既に流行が始まってしまったことも点鼻にマイナスです。注射をどうしても嫌がってできないという方など、一定の需要はあると思いますので、来年度以降、状況によっては採用するかもしれません。

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