- 2023-07-28
小児の初回てんかん発作後の再発率③
初回てんかん発作後の再発率が約50%、脳波異常と頭部CT/MRIでの脳の異常所見が再発リスク因子であることを書きました。初回てんかん発作後の再発率① – たかみこどもクリニックブログ (takami-kodomo.com)初回てんかん発作後の再発率② – たかみこどもクリニックブログ (takami-kodomo.com)今回は、1回目と2回目の発作の関連性や発作による後遺症について書きたいと思います。
まず、後遺症について書きます。けいれんやてんかん発作を初めて見たご家族は、かなりの衝撃や恐怖を感じたことと思います。死んでしまうのではないか、後遺症が残るのではないかと不安になります。前回お示しした研究Risk of seizure recurrence after a first unprovoked seizure in childhood – PubMed (nih.gov)の結果、467人の小児初回てんかん発作のうち280人が再発しました。合計747回のてんかん発作では、亡くなったり後遺症が残った人は1人もいませんでした。てんかん発作そのもので、たちまち脳が変になってしまうということは通常ありません。ただし、事故やケガには注意が必要です。意識が無くなる、あるいは倒れる様な発作だと、打撲、骨折、歯が折れる、やけどする、溺れるなどが起こりえます。入浴や自転車などは担当医師から指導を受けて下さい。
次に、1回目と2回目の発作の関連性についてです。再発した280人で調べました。てんかん発作は、起きているときと眠っているときのどちらでも起こることがあります。1回目の発作が起きているとき(覚醒中)に起こった場合、2回目も覚醒中に起こった割合は86%でした。1回目の発作が睡眠中に起こった場合、2回目も睡眠中に起こった割合は78%でした。以上から、1回目が覚醒中に起こった場合は、2回目も覚醒中に起こりやすく、1回目が睡眠中に起こった場合は、2回目も睡眠中に起こりやすいと言えます。
一般に30分以上のてんかん発作を重積発作と言います。1回目が重積発作だった人が再発した場合、2回目も重積発作だった割合は33%だったのに対し、1回目が30分以内だった人で2回目は重積だった割合は2%しかありませんでした。つまり、1回目が重積発作だった場合、再発した場合も重積となりやすいです。ただし重積発作は、再発する可能性は非重積発作と同等です。
1日に2回以上発作が起こることがあり、群発発作といいます。24時間以内の発作は複数回あっても再発とせず1回の発作とカウントします。1回目が群発発作だった場合、2回目も群発発作だったのは18%だったのに対し、1回目が単回発作で2回目が群発発作だったのは5%と差がありました。ただし、群発発作も再発する可能性は単回発作と同等でした。
少し難しいお話しでしたが、通常てんかん発作で直ちに後遺症が残ることはほとんどなく、1回目と2回目の発作は睡眠/覚醒、重積発作/非重積発作、単回発作/群発発作で共通している可能性が高いという結果でした。
次回は抗てんかん薬はいつ開始するのかについて書きたいと思います。