• 2024-03-10
  • 2024-03-16

抗菌薬(抗生物質)について②

前回、抗菌薬(抗生物質)は細菌に対するお薬で、ウイルスには効きませんよというお話しをしました抗菌薬(抗生物質)について① – たかみこどもクリニックブログ (takami-kodomo.com)。今回は、どの様なときに抗菌薬を使用するか総論的にお話しいたします。

結論を先に書きますが、発熱や咳、鼻水といった感染症を疑う症状が出た際、ほとんどの場合抗菌薬は不要です。特に症状が出てすぐに抗菌薬が必要となることはほとんどありません。お子さんが発熱した場合、多くは感染症です(ときに川崎病など非感染症のこともあります)が、感染症の約90%はウイルス感染症です。前回お話ししたように、ウイルスに抗菌薬は効きません。また、細菌感染症だった場合、抗菌薬を使用しないと治らないというイメージがあるかもしれませんが、必ずしもそうではありません。人間が細菌をやっつけることができないのであれば、抗菌薬がなかった時代の人々は全滅してしまっていたことでしょう。細菌感染症であっても、抗菌薬を使用せず自分の免疫でやっつけて自然に治ることも実は多いのです。つまり、発熱などの感染症を疑う症状が出た場合、すぐに抗菌薬が必要となるケースはほとんどないということです。

我々医師がどのように抗菌薬使用を考えるかお話しします。①年齢、②持病の有無(細菌感染症を起こしやすいあるいは重篤化しやすいもの)、③どの部位に感染が起こっているか、④症状の経過(発熱日数など)、⑤本人の現在の状態、などを総合的に判断して必要性が高い場合に抗菌薬を使用しています。”かぜ診療は簡単”と思われている方もおられるかもしれませんが、必要な人に必要なタイミングで抗菌薬を使用することは、実は結構難しいことです。あまり考えずに抗菌薬を処方しようとすると、必要ない(効かない)人に抗菌薬を処方したり、細菌感染だったとしても不適切な(効かない)抗菌薬(抗菌薬にも種類があって使い分けが必要なのです)を処方することになってしまいます。

次回は、抗菌薬の不適切な使用がなぜ良くないのかをお話しする予定です。抗菌薬(抗生物質)について③ – たかみこどもクリニックブログ (takami-kodomo.com)

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