• 2023-07-23
  • 2023-07-28

小児の初回てんかん発作後の再発率①

病気についてもときどき発信したいと思います。今回はてんかんについてです。

てんかんはそれ程稀な病気ではなく、日本にてんかんの方が約100万人いると見積もられています。日赤病院勤務中、お子さんが初めててんかん発作(以下、初回発作)を起こした、という方は年間約60名来院されていました。

数十年前までは、初回発作があると必ず繰り返し、どんどん悪くなると考えられていたため、すぐに抗てんかん薬の内服が開始されていました。その後、薬で予防しなくても再発しない人もいることが分かりました。但し、価値のある研究は海外含め少なく、日本のお子さんのデータもほとんどない状態でしたので、日赤病院勤務中に初回発作で来院された患者様の無治療での再発率を調査する研究を行いました。Risk of seizure recurrence after a first unprovoked seizure in childhood – PubMed (nih.gov)その結果をもとに御説明いたします。

対象の患者様は初回発作のあった生後1か月から16歳未満の467人で、最長10年間再発の有無を観察しました。再発率のグラフを示します。再発率は10年後で61.8%でした。最初の1年間が再発しやすく、その後徐々に再発が少なくなっています。

海外の主要な研究結果もお示しします。患者数が少なめだったり、抗てんかん薬治療した場合も含めたり、観察期間が短かったりと問題もあります。私の研究も含め半数が再発すると外来では説明しています。

「どれ位の期間再発しなければ安心(再発しない)ですか?」とよく質問を受けます。前提として、再発率が0になることはありません。なぜなら、過去にてんかん発作を起こしたことがない人でも、てんかん発作を起こす可能性はあるからです。

私の研究で、一定期間再発しなかった場合の、その後の再発率を算出しました。下記にグラフを示します。ちょっと分かりにくいかもしれません。一番上の曲線(All patients)は先程お示ししたものと同じです。二番目(Seizure free after 6 months)は、6か月間再発しなかった場合の再発率を示しており、10年後で36.8%でした。以下、同様に1年間再発しなかった場合の再発率は10年後26.4%、2年間では14.8%、5年間再発しなければ2.4%まで低下します。

ということで、再発しない期間が長くなればなる程、再発する可能性は下がります。5年間再発しなくても一般の方よりは発作が起こる可能性は高いですが、再発率はかなり低くなります。

まとめます。初めててんかん発作が起こった場合の再発率はおよそ50%で、再発しない期間が長い程再発率は低下します。どういう人がより再発しやすいかは、次回にお話しします。初回てんかん発作後の再発率② – たかみこどもクリニックブログ (takami-kodomo.com)

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